「声、ことば、聴こえ、そして食べる」の
スペシャリストとして活躍する言語聴覚士を目指す。

言語聴覚士は、ことば、聴こえ、発声・発音、認知などのコミュニケーションや食べることに障害がある方に対して、患者やご家族の生活を支援する専門職です。本学科では、幅広い知識の習得に加えて、患者の立場に立って考える洞察力や観察力を養うとともに、さまざまな問題に柔軟に対応できる言語聴覚士の養成を目指しています。基礎医学や心理学、言語学、音声学などの専門基礎分野や、失語・高次脳機能障害学、言語発達障害学、聴覚障害学、発声発語・摂食嚥下障害学などの専門分野を学ぶとともに、臨床実習や演習を通して実践力を身につけ、「声、ことば、聴こえ、そして食べる」のスペシャリストとして活躍できる人材を育成しています。国家試験に関しては、専任教員による国家試験対策授業や個別指導、外部講師による国家試験対策講座など、万全の態勢でサポートしています。

Point
学びのポイント

ますます社会的ニーズが高まる言語聴覚士

国家資格を必要とする医療系の職種の中でも、言語聴覚士は今非常に注目されています。2023 年3 月時点で言語聴覚士の資格を持つ人は約4 万人ですが、慢性的な人材不足のため有資格者は引く手あまたの状況で、病院や発達支援センター、福祉施設などにも活躍の場が広がっています。言語聴覚士は国家資格のため、育児などで一時的に職を離れても再就職が容易で、家庭と仕事の両立がしやすいのも特長です。本学科では、国家試験対策はもちろん、言語聴覚士として一生を通して学び、働き続けることができるよう、4年間の学びの中で丁寧に育成しています。

太秦病院と連携し、多彩な実践学習の機会を用意

京都太秦キャンパスから徒歩すぐ、地域密着型の医療機関として60年以上の歴史を誇る社会医療法人太秦病院と連携し、言語聴覚臨床の見学や実習など多彩な実践学習の機会を設けています。1年生は全員が太秦病院の「聞く・話す・飲み込みセンター」を見学し、言語聴覚士の仕事の実際を学習します。2年生以降の見学・評価・総合実習においても連携先として学生を受け入れています。また、本学科の教員は、言語聴覚士として太秦病院の言語聴覚臨床にも従事しています。臨床の現場で得られた症例については授業や教員自身の研究活動などにフィードバック。附属病院のような親密なネットワークを築き、教育・研究の充実を図ります。

国家試験へのきめ細かなサポート

国家試験対策に特化した「言語聴覚療法学総合演習」を行うなど教員のきめ細かいサポートのもと、全員合格をめざします。

※2024年3月実績

経験豊富な教員陣

本学科には、健康医療に関する幅広い分野の教育・研究・臨床経験豊富な教員が揃っています。人々の健康を支える職業人として求められる、知識・技能・姿勢を伝えていきます。

機能的な教育・研究設備

2015年に開設した京都太秦キャンパスには、最新の教育・研究設備が充実しています。

Course
コース

言語聴覚士コース

私たちが生活する上で必要な「話すこと」や「聞くこと」、「食べること」、言語聴覚士は脳の損傷などによりこれらの機能が障害された方々を支援します。言語聴覚療法に関わる専門的な知識を、実践を踏まえた演習とともに学修します。さらに2~4 年生の臨床実習でさまざまなリハビリテーションを経験します。

地域言語聴覚療法学・言語聴覚療法管理学

新しい言語聴覚士学校養成所指定規則に合わせて、新規科目である『地域言語聴覚療法学』、『言語聴覚療法管理学』を開講しています。介護保険領域や地域包括ケアシステムでは、年々言語聴覚士のニーズが高まっているため、『地域言語聴覚療法学』を通じて地域での生活を支援できる人材を養成します。『言語聴覚療法管理学』では、保健、医療、福祉に関する制度を理解し、組織運営をマネジメントできる言語聴覚士になることを目指します。

Program
専門プログラム

言語聴覚学科の学び

音声学や言語学で、声・発音やことばの仕組みを深く知り、基礎医学や臨床医学で様々な病気の状態とことばへの影響を学びます。脳科学や心理学についても学修することで、患者さんをより理解できるようになります。さらに、言語聴覚療法に関わる専門的な知識を、実践を踏まえた演習とともに学修します。

2年生、3年生、4年生で行う臨床実習では、「観て学ぶ」「観て習う」「習って行う」の段階的な実習で、臨床に必要なスキルを身につけていきます。

主に学ぶ言語聴覚療法の領域には右のようなものがあります。

基礎

大学での学び方を身につけるとともに、言語学・音声学などことばの科学と、解剖生理学などからだの科学を学び、専門分野の基礎をつくります。

専門

講義と実習を一体化して2コマ連続にしているため、座学で学んだことをその場で体験できます。最先端の機器を使って身体の異常を診る道筋を学びます。

実践

総合病院やリハビリテーション専門病院で実施。2年生から4年生にかけて、見学実習・評価実習・総合実習の3ステップで観察力と行動力を磨きます。

合格へ

4年生は国家試験対策に特化した「言語聴覚療法学総合演習」を受講します。教員のきめ細かな支えのもと、全員合格をめざします。

Skill
身につくスキル

  • ・言語聴覚障害をもつ方とのコミュニケーション力
  • ・人間観察力
  • ・問題を解決しようとする行動力
  • ・考えをまとめる・伝える論理的思考力
カリキュラム

基礎プログラム

※健康医療学部看護学科・言語聴覚学科では独自のカリキュラムを実施します。

基礎学力・技能

コミュニケーション力・リーダーシップ・協調性

未来展望力

英語・異文化理解

実用日本語・日常の物理学・生命と倫理・統計学・情報処理を幅広く学びます。

グループワークや演習科目を通じて、コミュニケーションなどのスキルを習得します。

京都の歴史・カウンセリング論などのユニークな科目を、現代社会の諸問題に沿って学びながら未来を展望します。

グローバルな社会で必要な外国語でのコミュニケーションや異文化理解について学びます。

※●は必修科目、〇は選択科目を示します。
※2025年度(予定)カリキュラムの一部を抜粋して掲載しています

KUAS Voice
教員・学生・卒業生の思い

Career
資格・進学・就職

目標とする資格

言語聴覚士※
※国家資格

卒業後の進路

主な進学・就職先

京都市立病院、武田病院、京都九条病院、京都博愛会病院、京都大原記念病院、京都民医連あすかい病院、京都桂病院、嵯峨野病院、太秦病院、宇治徳洲会病院、宇治病院、草津総合病院、藤井会リハビリテーション病院、西宮回生病院、恵寿総合病院、三重中央医療センター、信州大学医学部附属病院、JA長野厚生連 長野松代総合病院、東京品川病院、横浜労災病院、京都府立丹波特別支援学校

Policy
教育ポリシー

教育目的

言語・聴覚や摂食・嚥下分野の基本的な評価と訓練・指導の技術を修得し、さらに基盤となる分野(科学)と幅広い分野(教養)の知識を備え、患者の状態を理解し、リハビリテーションに関する問題を医師らと連携しながら解決できる言語聴覚士の育成を目指す。

学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

1.知識・理解

1.1 言語聴覚療法に必要な専門的知識・技能を他領域の知識と関連づけながら修得し、言語聴覚障害分野における諸問題を解決するために活用できる。

2.技能

2.1 言語聴覚士として、適切な方法を用いて必要な情報を収集し、活用できる。
2.2 対象児・者と信頼関係を築き、言語聴覚士として安全で効果的なリハビリテーションを実践できる技術を身につけ、問題を解決するための方策を立て、実践することができる。

3.思考・判断・表現

3.1 言語聴覚障害学分野に関して修得した知識、技能ならびに経験を活かして、複眼的思考で自らの考えを論理的に組み立て、表現できる。
3.2 自ら設定した言語聴覚障害学分野の主題について、収集した資料を客観的に分析しながら、批判的に考察できる。

4.関心・意欲・態度

4.1 医療の高度化や変化に対応し、言語聴覚士として生涯にわたり、知識や技能の研鑽に努め、常に向上心を持って、その問題の解決のために粘り強く主体的に行動できる。
4.2 豊かな人間性とコミュニケーション能力を持ち、リハビリテーション領域におけるチーム医療を推進しながら、自律的な職業人として行動できる。

教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

1.教育課程編成

1.1 職業人としての基礎力、人間性および倫理観を養い、言語聴覚士としての能力を育成するため、教育課程として「基礎分野」「専門基礎分野」「専門分野」を配置します。
1.2 職業人としての教養、基礎学力・技能、語学力、協調性を修得することを目的に、「基礎分野」を配置します。
1.3 言語聴覚士として乳幼児から高齢者まで対象児・者にふさわしい言語聴覚療法が実施できる能力を育成するため、実学を重視した「専門基礎分野」「専門分野」を系統的に配置します。

2.学修方法・学修過程

(学修方法)

2.1.1 4年間の教育課程では、各科目を理論的に学修するだけでなく、実習およびキャリア学修も連動させながら、実践的かつ能動的に学修します。

(学修過程)

2.2.1 基礎分野科目では健康医療分野の職業人として必要な幅広い教養を学修します。
2.2.2 専門基礎分野科目では言語聴覚障害学の基礎となる科目を配置し、より専門的な科目に繋がる内容を深めていきます。
2.2.3 専門分野科目では言語聴覚士としての知識・技能・態度について障害領域別に学修し、対象児・者の問題を理解し、治療や訓練において、自ら問題を発見し、解決する能力を深めていきます。

3.学修成果の評価

3.1 学修成果は、ディプロマ・ポリシーで定められた能力と、カリキュラムの各科目で設定される到達目標の達成度を示すものであり、言語聴覚学科のアセスメント・ポリシーに従って多様な方法で学修成果を評価します。
3.2 各科目の内容、到達目標、および評価方法・基準をシラバスに示し、到達目標の達成度を評価します。

入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

本学科の教育目的に示した人材を育成するために、明確な目的意識と情熱を持ち、高等学校で履修した教科・科目について、基礎的な知識を有し、自分の考えを伝えられる日本語力、さまざまな課題や活動に積極的に取り組む意欲や姿勢、コミュニケーションを効果的に図り、相互理解に努めようとする態度を有する人を求めます。

  1. 知識・技能
    ・高等学校で履修する国語、英語、数学、生物などについての基礎的な知識を持つ。
  2. 思考力・判断力・表現力
    ・人の身体・精神・行動の仕組みについて考え判断するための基礎的な能力がある。
    ・自分の考えを的確にことばで表現できる。
  3. 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
    ・リハビリテーションの分野、特に言語聴覚士に強い興味・関心があり、主体的に学ぶ強い意欲を持つ。
    ・様々な人の心情を理解して信頼関係を築こうとする気持ちを持ち、知識の修得と実践のために、多様な人々と協働して取り組める。