社会で生きる人間・心を理解し、多彩な進路に活かす

心理学者、臨床心理学者、社会学者がスクラムを組み、デジタル次元に引き上げた新しい人間と社会の謎に挑んでいきます。最新の設備や技法による人の心理・行動への科学的分析を駆使して、これからの人間や社会を深く洞察できる人材を育成し、また「公認心理師(国家資格)」、「臨床心理士」養成教育も推進していきます。

Point
学びのポイント

臨床心理学プログラム

人の心の問題をケアし、サポートするのに役立つ心理学を学びます。公認心理師・臨床心理士などの心理職を目指す人はもちろん、 人とのよりよいコミュニケーションを勉強したい人向けの科目を用意しています。

心理学プログラム

人の心の働く仕組みを科学的に探究し、情報活用・伝達能力を駆使しながら基礎力を養成します。「人間の行動と感情」を理解し、社会に通じるマーケティングやマネジメント能力を習得します。

社会・産業プログラム

社会の仕組みや人の心を理解し、地域や企業が抱えるさまざまな課題に向き合いながら、将来の働き方を考えます。消費者・市民の意識や行動を捉える「社会調査士」資格の取得も目指します。

地域の方々への援助を行う「心理教育相談室」

京都太秦キャンパス内に設置された、幼児から中高年まで幅広い年齢層の方への臨床心理学的援助を行う場です。個人面接や親子並行面接、グループでの子育て相談会など、さまざまな形で心理カウンセリングが行われています。公認心理師・臨床心理士をめざす大学院生にとっての教育訓練機関としての役割も担っています。

国家資格「公認心理師」資格取得可能に

本学では、これまで大学院において臨床心理士の養成に取り組んでまいりましたが、2018年度からは臨床心理士の養成と並行して、大学と大学院において公認心理師の受験資格が取得可能な教育体制を推進しています。

心理学実験の豊富な設備を活用し、心の働きを知る

生理実験室

私たちが色々なことを考えたり感じたりするときに、身体はどのような状態なのか、さまざまな装置を用いて生理的指標などを測定します。

心理臨床室

実際に玩具を置いて箱庭を作成する心理療法の体験実習を行っています。箱庭療法は、セラピストが見守る中、砂の入った箱に、ミニチュアの玩具を置いて好きなものを作ってもらうことを通して行う心理療法です。

心理実験 制御室

「記憶の間違いはどのような心の仕組みで起こるのか」など、人の記憶や認知の仕組みをめぐる「不思議」について調べます。

ネットワーク実験室

個別に分かれたプレーヤーがパ ズルを解くネットゲームを通して、集団と社会の仕組みを探る社会心理学の実験を行います。

行動分析室・ 行動観察室

イラストやクイズなどを使いながら、子どもの心を調べる実験を行います。また、犯罪取調室のマジックミラーと同じ設備もあるため、人々の自然な行動を観察することもできます。

Skill
身につくスキル

心理カウンセリング技術

人の話を聞き、考え、自分の思いを伝える力を養う。

例えば…スクールカウンセラー

スクールカウンセラーとは、教育機関において不登校やいじめなどの問題に対応し、心理相談を行う「心理サポートの専門家」のこと。スクールカウンセラーという特別な資格はなく、精神科医や教員などが担当することもありますが、現状では臨床心理士が大半です。

スクールカウンセラーになりたい人は、まずは臨床心理士に求められる一般的な技能の修得をめざしましょう。そして今から様々な体験をして自分の感じたことを言葉にする練習をしましょう。人の心を理解する力と、自分の心をつかむ力はつながっているからです。

福祉・子どものケア

子どもや親に寄り添い、ともに成長していける人へ。

例えば…児童養護施設の児童指導員

事情があって家庭で暮らせない子どもたちが生活する児童養護施設。そこで子どもたちの健やかな成長を支えるのが児童指導員です。子どもと一緒に生活するなかで、安心と勇気を育んでゆくような心理的なサポート力が求められます。

医療における援助技術

病に苦しむ患者さんをサポートする力を養成。

例えば…総合病院の臨床心理士

臨床心理士が活躍する医療現場は、精神科領域に限らず、心療内科、小児科、内科、外科など多方面にわたっています。心の病だけでなく、身体の病を抱えて苦しむ患者を理解し、援助するための医療心理学的な力が必要となります。

集団・組織心理学

仕事に役立つ対人関係や集団心理の知識を修得。

例えば…企業の営業職

顧客が抱える問題の本質を理解し、商品やサービスの提供を通して解決へと導く企業の営業職。対人関係や集団心理、ネットワーク科学、また統計分析やITのスキルなど、心理学の専門領域で学べることが非常に役立つ進路です。

コミュニケーション

人と協働できる力を地域や社会の現場などで養う。

例えば…広告業界企業の宣伝部門

コミュニケーションとは伝え合い、共有すること。立場や価値観の異なる人が集う社会で生きていく力の基本です。商品やサービスの魅力をターゲットに適切に伝える、広告業界や企業の宣伝部門などに心理学の知識とスキルが活かせます。

心の健康ケア

人の心を客観的に理解できるスキルを身につける。

例えば…企業の人事・人材開発部門

適材適所で組織のポテンシャルを高めるため、人の心を客観的に理解する必要がある企業の人事。また働く人が心身ともに健康で、前向きに仕事に取り組んでいける環境づくりも大切な業務です。心理学への理解が必須ともいえる仕事です。

社会調査

「社会調査士」の資格を修得できる。※

例えば…企業・行政の社会調査士

調査票(アンケート用紙)を配布して意見を聞いたり、現地で人々が何をしているかを観察したり、多彩な手法を駆使して社会状況を調べる社会調査士。市民や消費者の実態やニーズを政策立案や商品のマーケティングに生かすリサーチスキルを身につけます。
※ 一般社団法人・社会調査協会が指定する科目の履修が必要です。

Curriculum
授業ピックアップ

教育・学校心理学

人文学部 心理学科 小山 智朗 教授

子どもの心理を深く理解し、
教育現場の現実をふまえた
実践的な支援の方法を学びます

教育現場で子どもを支援する時、子どもの心理についての深い理解があることで、本当の意味での支援が可能になります。知識や理論だけでなく、可能な限り具体的な実践事例(書籍、論文などに所収されたもの)を用いながら、支援について考えていきましょう。一方的に話すばかりでなく、受講者同士のグループワークも取り入れます。 ジブリ作品や絵本を用いて、皆さんの関心を引くような講義にしたいと 思っています。一緒に楽しい講義にしましょう。

社会・産業基礎演習

(社会・産業プログラム)

社会調査やビッグデータの分析で
人の心理と行動、
地域や企業の課題解決を探究します

アンケートやインタビューなどの社会調査、京都の企業や老舗店、里山を訪問するフィールドワークを通じて、市民や消費者の心理・行動を客観的にとらえ、心理学や社会学を現場で活かす方法を学びます。SNS や位置情報のデジタルデータ分析により、消費や趣味の行動、繁華街・観光地 での人の流れをとらえる最新技術も身につけます。

カリキュラム

大学共通コア科目

基礎学力・技能

コミュニケーション力・リーダーシップ・協調性

未来展望力

英語・異文化理解

社会人として必要な日本語リテラシー、数的処理(統計含む)、IT技能について学びます。

グループワークや身体活動を通じて、コミュニケーションなどのスキルについて学びます。

現代社会の諸問題をテーマごとに学際的に学びながら、未来を展望します。

グローバルな社会で必要な外国語でのコミュニケーションや異文化理解について学びます。

★臨床心理学プログラム ◇心理学プログラム ◎社会・産業プログラム
■公認心理師資格科目 △認定心理士資格科目 ○社会調査士資格科目
※2025年度(予定)カリキュラムの一部を抜粋して掲載しています

KUAS Voice
教員・学生・卒業生の思い

Career
資格・進学・就職

取得できる資格

認定心理士
社会調査士
博物館学芸員※1
教職課程:高等学校教諭一種免許状(公民)※2
※1国家資格

※2課程認定申請中(ただし、文部科学省における審査の結果、予定している教職課程の開設時期等が変更となる可能性があります。)

目標とする資格

臨床心理士
公認心理師※
※国家資格

卒業後の進路

主な進学・就職先

東京大学大学院、立命館大学大学院、龍谷大学大学院、京都外国語大学大学院、京都先端科学大学大学院、東海大学大学院、追手門学院大学大学院、京都文教大学大学院

大和ハウス工業株式会社

日本電気硝子株式会社、株式会社資生堂、株式会社井筒八ツ橋本舗、株式会社鼓月

株式会社KYOSO、医療システムズ株式会社、株式会社モバイルコミュニケーションズ、株式会社コスモネット

大阪市高速電気軌道株式会社(大阪メトロ)、ヤマト運輸株式会社、佐川急便株式会社

ファイテン株式会社、株式会社ローソン、株式会社ライフコーポレーション、株式会社LIXILビバ、株式会社ナフコ、株式会社コスモス薬品、日清医療食品株式会社、株式会社京阪百貨店、株式会社マツモト、ゼビオホールディングス株式会社、株式会社増田医科器械

株式会社京都銀行、SMBC日興証券株式会社、JPアセット証券株式会社

株式会社アーネストワン、株式会社長栄、株式会社エリッツホールディングス、株式会社京都ライフ、式会社ジェイ・エス・ビー、株式会社ハウスドゥ

株式会社高知新聞企業、株式会社エヌリンクス

藤田観光株式会社、株式会社バルニバービ、ANAクラウンプラザホテル京都、株式会社星野リゾート、株式会社くらコーポレーション、株式会社グルメ杵屋

株式会社スクールパートナー、株式会社ミス・パリ、株式会社西洋舎

京都市教育委員会、株式会社ウィルウェイ(馬渕教育グループ)

医療法人清仁会 シミズ病院グループ、株式会社近畿予防医学研究所、SOMPOケアメッセージ株式会社

福井県民生活協同組合(県民せいきょう)、京都農業協同組合(JA京都)、大学生協関西北陸事業連合

社団法人京都微生物研究所、JALスカイエアポート沖縄株式会社、綜合警備保障株式会社、セントラル警備保障株式会社、アデコ株式会社、株式会社エイジェック、フジアルテ株式会社

京都府警察本部、自衛隊、菊川市役所

Policy
教育ポリシー

教育目的

心理学及び周辺分野の基礎的知識と技能を十分に体得し、それを企業や心理臨床などの現場において柔軟に応用、問題解決できる能力を持った人材を育成する。

学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)

1.知識・理解

1. 心理学や社会学の専門的知識と研究方法を習得することで、現代社会における諸問題を理解することができる。
2. 豊かな人間性と幅広い教養を身に付け、グローバル社会に適応できる。

2.技能

1. 優れた文章読解能力を身に付け、自らの思考を口頭および文章で他者に伝えることができる。
2. 心理学や社会学に関する知識を活用して、他者と適切にコミュニケーションをとり、互いの理解を深めることができる。

3.思考・判断・表現

1. 統計や実験、調査結果の分析を通じて身に付けた論理的思考力をもとに、社会におけるさまざまな問題に対処することができる。
2. 自ら設定した主題について、文献調査や実験などを通して収集した資料を、客観的に分析しながら、批判的に考察できる。

4.関心・意欲・態度

1. 人と社会に対する関心を強く持ち、さまざまな問題の解決に能動的に取り組むことができる。
2. 現状の課題に対して、協働して取り組み、集団のなかで自分の役割を果たすことができる。

教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)

1.教育課程編成

1. 人間を心理と社会の両面から学び、学科の学修を活かした進路に進むために、対人援助、応用心理、社会・産業の3つのプログラムを設置します。
2. 専門的知見に基づく主体的な行動力および問題解決力を育成し、各学科の学修を活かした進路に進むために、学科専門科目には、基礎的事項を学ぶ基礎科目、より高度な内容を学ぶ展開科目を設けます。
3. 公認心理師、認定心理士、社会調査士など、専門職の資格を取得するために必要な科目を置きます。

2.学修方法・学修過程

(学修方法)

4年間の学修課程では、教員が学生に寄り添って行う指導の下で、教養科目や専門科目を理論的に学修するだけでなく、体験学修およびキャリア学修も連動させながら実践的かつ能動的に学修します。

(学修過程)

1. 講義形式科目で各分野の知識を学び、実験や実習形式科目で実践的な経験を積み、演習形式科目で情報伝達能力を高めます。
2. 1年次から2年次にかけて学ぶ基礎科目で、各プログラムの基礎的な知識を横断的に学び、また2年次において、心理学や社会学の実験や調査の方法を学ぶため、各プログラムが提供する実験・演習科目を選択的に受講します。
3. 3年次・4年次に学ぶ少人数の専門演習においてきめ細やかな指導を受けながら、一定水準以上の卒業論文を作成します。
4. 演習などにおける集団作業を通じて、集団のなかで自分の役割を果たすことができる協働力を涵養します。
5. 大学での学びの意義づけも重視して、卒業後の人生を見据えたキャリア教育を学修します。

(学修成果)

心理学科では、専門的知見に基づく主体的な行動力および問題解決力の修得を目的として、両学科で設置されるプログラムの下で段階的に学修しながら卒業論文を作成します。

入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)

本学科の教育目的に示した人材を育成するために、明確な目的意識と情熱を持ち、高等学校で履修した教科・科目について、基礎的な知識を有し、自分の考えを伝えられる日本語力、さまざまな課題に積極的に挑戦しようとする意欲、活動に積極的に取り組む姿勢、コミュニケーションを効果的に図り、相互理解に努めようとする態度を有する人を求めます。

  1. 知識・技能
    ・高等学校で履修する国語、英語、地理歴史、数学などについての基礎的な知識を持つ。
  2. 思考力・判断力・表現力
    ・人間の心理・行動・コミュニケーションについて考え判断する能力があり、自分の考えを表現できる。
  3. 主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度
    ・心理学に強い興味・関心があり、未知のことを主体的に探究する強い意欲を持つ。
    ・心理学実験や発表などを、多様な人々と協働して取り組める。