ホタルから、生態系を守る心を届けたい
♬蛍のひ~か~り~♪ ホタルが光るのは知っているけど、本物のホタルを見たことがない、という人も多いのではないでしょうか? 「ホタル観察プロジェクト」は、「亀岡キャンパスのホタルを仲間である本学学生に見てほしい」、「亀岡キャンパスのホタルを守りたい」という学生の想いから生まれた学生主体の企画です。
京都亀岡キャンパスの西側を流れる曽我谷川では、毎年5月末から6月上旬のほんの2週間だけ、ゲンジボタルの光の乱舞が見られます。この貴重な生態系を守りたいという学生の強い想いから、ホタルの勉強会と観察会が実施されています。本企画は夜間のイベント開催で、毎年、学生たちが企画から実施まで安全対策を含めたすべてを担当しています。
まず、ホタルの鑑賞に先立ち、生き物好きの学生が先生になってホタルの生態について講義します。卵が産み付けられる水辺のコケ、幼虫のエサであるカワニナが育つ環境、幼虫が上陸できる土、成虫が飲む水と隠れ場所を提供する樹木の葉っぱ、すべてがそろってホタルが育つそう。クイズなども交えて、参加学生に対しておもしろく講義してくれます。
その後、キャンパスから歩いて数分の曽我谷川にでかけ、いよいよ本物のゲンジボタルの観察を行います。曽我谷川の河川敷に降りて、息をひそめ、じっとホタルを待ちます。夜の闇が深まるにつれ、1匹、2匹…どんどん増えて…川に、竹やぶに…ほら、こっち…あっちにも…ホタルがたくさん現れたときにはため息とも感嘆ともいえる声が各所から聞こえます。目の前の美しい光景に参加者は皆、魅了されます。参加学生からは、「初めてのホタルに感動!」(ウクライナからの留学生)、「故郷でも昔はホタルを見られたが今は都市化が進んで川がほとんどなくなりホタルを見られなくなった」(ベトナムからの留学生)、「亀岡キャンパスの自然がとてもうらやましい、また来たい」(人文学部学生)などの賞賛と感謝の声が聞かれています。
バイオ環境学部の学生の一人がつぶやいた「亀岡キャンパスではホタルいっぱい見れるんだよな」の一言から始まったこの企画。一学生の「ホタルを守っていきたい」という思いが、周りの学生に伝わって、周りの教職員に伝わって、京都亀岡キャンパスと京都太秦キャンパスの学生を結び、日本人と留学生を結び、大学生も”大人”も、「バイオ環境(=人とともに多様な生きものが共生できる環境)」について考えるよい機会となっています。今後、ホタルだけでなくもっと広い視野で自然環境や生物多様性の重要さや面白さを考えるきっかけになっていくことでしょう。