バイオ環境学部の2年生以上を対象にした「バイオテクノロジー産業の最前線」は、学生たちの社会に出てからのキャリアアップを目的に実施しています。15回にわたってオムニバス形式で開講している本講義は、毎回産業界(食品、化粧品、医薬品、等)や研究機関の第一線でご活躍されている方を講師としてお招きし、ご講演いただいています。
第12回目は、12月13日(金)にヤマサ蒲鉾株式会社 取締役品質管理部長の黒田信行先生をお招きし、「ヤマサ蒲鉾における食の安全・安心とSDGsの取り組みについて」というテーマで講演いただきました。
同社は、魚肉練り製品を中心に、かに風味かまぼこや揚げかまぼこなど、自社製品だけでなく他社へのOEM製品も請け負っています。おいしい食品を安全・安心に消費者にお届けすることを重点に、日々、品質管理徹底していると説明されました。実際に、今年国内で起きたいくつかの食品事故の事例を挙げながら、食品メーカーとしては当然である安全管理の取り組みについて解説いただきました。これらは毎日の食生活にも応用できることであるため、学生にも大変参考となる内容でした。
実際、同社の安全への取り組みは徹底しており、食品を安全に製造するための工程管理手法のHACCP(ハサップ)システムをいち早く導入。さらに厳しいFSSC22000と呼ばれている、外部機関による安全認証をはじめ、数多くの認証を取得し、徹底した品質管理に取り組んでいるとのことでした。黒田先生からは、工場内の写真などを交えて、製造現場にはどのような危険が潜んでいるのかについて具体的に説明いただきました。さながら実際の品質管理の現場を見ているようで、安全に製造するとはどういうことかを理解できる機会になりました。
最後に、製造現場で発生する食品の未利用資源や、消費期限の近い商品などを堆肥にして植物を育てるという活動や、多少のコストがかかっても、いかにして生産工程の中でCO2の排出量を下げるかなどの検討を行っているなど、SDGsへの取り組みの一端も紹介いただきました。
次回は、12月20日(金)から、理研ビタミン(株)京都工場食品改良剤開発部イノベーションセンター第4グループリーダーの藤原和広先生を講師にお招きして行います。
(バイオ環境学部教授 藤田 裕之)