「バイオテクノロジー産業の最前線」は、バイオ環境学部の2年生以上が対象の科目です。社会に出てからのキャリアアップを目的に、15回にわたってオムニバス形式で開講しています。産業界(食品、化粧品、医薬品、等)あるいは研究機関の第一線でご活躍されている方を講師にお招きし、講演いただいています。
第5回目は、スペラファーマ株式会社のCMC研究本部の馬渡彩先生に「医薬品の開発について~CMC研究と品質確保~」と題して講演頂きました。
同社は、武田薬品工業からスピンアウトしてできた会社とのことで、医薬品製造の中でもいわゆる薬の「原体」を探索研究するのではなく、開発された薬の種を実際にヒトに投与できる形にしていくという、CMC研究(Chemistry、Manufacturing and Control)の研究を行っているとのことでした。
まず、医薬品の開発全般のお話しがあり、実際に新薬が皆さんに使用されるまでには大変なお金と時間がかかるとのことでした。厚生労働省に製造販売の承認が得られるまでには、基礎研究からヒトでの臨床試験までに長いもので17年、その費用は数千億円にもおよぶとのことで、その成功確率は0.01%以下という大変リスクが大きいと言うことを話されていました。
最近は、化学合成された低分子の医薬品だけでなく、細胞培養や遺伝子組み換え技術を屈ししたバイオ医薬品と呼ばれる医薬品も多く開発され、売り上げの上位をしめているとのことでした。特に、抗体製造技術を使用したバイオ医薬品は抗がん剤や抗リウマチ剤として売り上げが伸びているが、一方で品質管理も大変になっているので、是非若い人にもこのような仕事にチャレンジして欲しいとのことでした。
次回は、2024年11月1日(金)13:20から、地方独立行政法人大阪産業技術研究所生物・生活材料研究部脂質工学研究室長の永尾寿浩先生を講師にお招きして行います。
(バイオ環境学部 食農学科 藤田 裕之)