2023.10.11

バイオテクノロジー産業の最前線「リパーゼと油脂加工」【バイオ環境学部】

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「バイオテクノロジー産業の最前線」はバイオ環境学部全学科の2年生以上に開講されている科目で、今後社会人になる学生のキャリアアップに繋げるための15回にわたるオムニバス講義です。この授業では、産業界(食品、化粧品、医薬品、等)あるいは研究機関の第一線でご活躍されている方を講師にお招きし、講演していただいています。

今年度の第3回は、(地独)大阪産業技術研究所の生物・生活材料研究部長で脂質工学についてご研究されている永尾寿浩先生に「身の回りの脂質製品とリパーゼを用いた脂質加工」と題してご講演していただきました。

大阪産業技術研究所は、企業技術の支援を目的に設立された大阪府の研究所で、生物・生活材料研究部の他に、有機材料、電子材料、等の研究部門があり、いろいろな企業と共同研究を行っています。今回、永尾先生には、ご自身の開発された抗菌作用のある脂肪酸を使用した抗アレルギー作用のある化粧品について紹介いただきました。

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まずは脂質の基礎知識について、油と脂の違いや、これに含まれる脂肪酸の種類まで詳細にご説明いただきました。魚由来の機能性脂質であるEPAやDHAについては、中性脂肪低下作用の他に目や記憶力向上にも効果があるとのことでした。

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脂肪分解酵素であるリパーゼは、食品用途としてココアバターの代替油脂の製造や製パン時の加工助剤として使われているだけではなく、医薬品の消化薬としても使用され、身近なところでは家庭用洗濯洗剤など幅広く使用されています。チョコレートの製造は、カカオ豆から原料のカカオマスやココアバターを作る際にカカオ豆を木箱やバナナの皮を使って発酵して作ります。実はチョコレートは発酵食品であると言う興味深いお話しも聴くことができました。

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永尾先生からカカオ豆の実物を紹介いただきました。単に座学で学ぶのとは違い、学生たちもリパーゼという酵素を大変身近に感じ、理解を深めることができた様子です。

次回は、2023年10月13日(金)13:20から、ファーマフーズ株式会社開発部の嵯峨根里穂先生を講師にお招きして行います。

(バイオ環境学部 教授 藤田裕之)