「バイオテクノロジー産業の最前線」は、バイオ環境学部の2年生以上が対象の科目です。社会に出てからのキャリアアップを目的に、15回にわたってオムニバス形式で開講しています。産業界(食品、化粧品、医薬品、等)あるいは研究機関の第一線でご活躍されている方を講師にお招きし、講演いただいています。
第8回は、大手医薬品メーカー、住友ファーマ株式会社で取締役の重責を担われている西中重行先生に「ヒトの健康に対するサイエンスの貢献と課題」と題してご講演していただきました。
そもそもバイオテクノロジーとはどういう意味を持っているのか。西中先生にはノーベル医学・生理学賞の歴史を振り返りながら、バイオテクノロジーが医薬品開発にどのように貢献してきたかについて説明いただきました。
一方で、このような技術を誤って使用した場合には、倫理的に大変な問題を起こすこと、また悲惨な事件、事故も招き得ることなど、医薬品メーカーとして持たなければならない責任についてお話しいただきました。
次に、医薬品の法律上の定義についての説明と合わせて、「くすり」の歴史とその開発が過去と現在とでは、どのように変わってきたのか。また、実際に市販されるまでに、どれだけ多くの安全性試験が行われるのかについて紹介いただきました。加えて薬害についても触れられ、医薬品メーカーとして薬の有効性だけでなく安全性の確認も必須であることを話していただきました。
次回は、2023年11月24日(金)13:20から、樋口松之助商店(株)取締役山下秀行研究室長を講師にお招きして開催します。
(バイオ環境学部 教授 藤田裕之)