2025.03.26

高野特任教授らの研究グループは地下鉄構内のPM2.5の主成分が血管機能を低下させることを明らかにしました

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国際学術研究院・共生健康科学研究機構長 高野裕久特任教授(京都府立医科大学客員教授・京都大学名誉教授)らの研究グループは、地下鉄構内で発生する微小粒子の主成分である酸化鉄と微生物成分の曝露が血管機能を低下させることを動物実験で明らかにしました。

粒径が2.5 µm以下の大気中微小粒子状物質(PM2.5)による健康影響は、世界中で危惧されています。しかし、ヒトが日常生活で多くの時間を過ごす屋内におけるPM2.5の健康影響に関する研究は少なく、循環器系に及ぼす影響についてはほとんど分かっていませんでした。本研究は、地下鉄構内のPM2.5の主成分である酸化鉄粒子が、循環器系に影響を及ぼしうることを示し、微生物成分の存在下において、さらに病態を悪化させる可能性を示しました。また、そのメカニズムとして、炎症、細胞死、血管収縮等に関わる分子の変動が関与している可能性を世界で初めて明らかにしました。

「本研究は、海外から京大への留学生が中心となって進めてくれたものです。今後、共生健康科学研究機構(KUAS-RICH)においても、海外からの留学生による研究が実施できるようになることをめざし、努力していきたいと考えています。」と、高野教授は語っています。

<論文タイトルと著者>


タイトル

Co-exposure of ferruginous components of subway particles with lipopolysaccharide impairs vascular function: A comparative study with ambient particulate matter(地下鉄構内で発生する粒子の主要成分である酸化鉄と微生物成分の複合曝露は、血管機能を低下させる:一般環境中微粒子との比較研究)


著者

Owokoniran OH, Honda A, Ichinose T, Ishikawa R, Nagao M, Miyasaka N, Wang Z, Takai S, Omori I, Zhang K, Liu W, Higaki Y, Kameda T, Matsuda T, Fujiwara T, Okuda T, Takano H.


掲載誌

Ecotoxicol Environ Saf



(研究連携センター 横山儀八)