2025.04.23

高野特任教授らの研究グループが、マイクロ(ナノ)プラスチックの経口摂取が食物アレルギーを悪化させることを確認

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本学 国際学術研究院・共生健康科学研究機構長 高野裕久特任教授(京都府立医科大学客員教授・京都大学名誉教授)らの研究グループは、環境中に広く存在するマイクロ(ナノ)プラスチックが、食物アレルギーを悪化させる可能性があることをマウスの実験で明らかにしました。特に、脂肪の多い食生活と組み合わさることで、アレルギー反応が大きく増幅されることが示されました。

近年、プラスチックごみの分解等により生じる微細なプラスチックが、食品や水を通じて日常的に摂取され、その健康影響が危惧されています。一方、食物アレルギーが世界的に増加し、環境要因の関与が注目されていました。

 今回の研究では、マウスに、通常食または高脂肪食を摂取させながら、アレルゲンとプラスチックの摂取を組み合わせた実験を行いました。その結果、高脂肪食、プラスチック、アレルゲンを同時に投与した時、腸管のバリア機能が大きく損なわれ、下痢症状やアレルゲン特異的IgE(アイジーイー)抗体の上昇が顕著に見られました。また、腸内に炎症に関与する細胞が増加し、腸内細菌叢も大きく乱れていることが確認できました。

本研究は、私たちの身の回りに存在するマイクロ(ナノ)プラスチックが、現代型の食生活と相まって食物アレルギーの増加に寄与している可能性を示しており、環境要因と生活習慣の複合的影響を考慮した健康管理の重要性を認識させるものになりました。

「今回の研究は、京都府立医科大学と協力し、プラスチックが腸と免疫・アレルギーに与える影響を分子レベルで明らかにしたもので、今後のマイクロ(ナノ)プラスチックの健康影響評価に重要な知見を提供すると考えています。」と高野教授は述べています。

<論文タイトルと著者> 


タイトル

Oral exposure to nanoplastics and food allergy in mice fed a normal or high-fat diet


著者

Takuro Okamura, Yuka Hasegawa, Yuriko Ohno, Yuto Saijo, Naoko Nakanishi, Akiko Honda, Masahide Hamaguchi, Hirohisa Takano, Michiaki Fukui


掲載誌

Chemosphere


(研究連携センター 横山儀八)