「バイオテクノロジー産業の最前線」は、バイオ環境学部の2年生以上が対象の科目です。社会に出てからのキャリアアップを目的に、15回にわたってオムニバス形式で開講しています。産業界(食品、化粧品、医薬品、等)あるいは研究機関の第一線でご活躍されている方を講師にお招きし、講演いただいています。
第3回は10月4日に行われ、月桂冠株式会社常務取締役総合研究所長の石田博樹先生にご講演いただきました。同社で石田先生は、日本酒の製造のみならず、そこに含まれる機能性成分の研究、開発を担当されています。世界各地のお酒の紹介に加えて、なぜ人間だけがお酒に強くなったのかといった話しの後に、日本酒と日本の文化とのかかわりについてご講義いただきました。
日本酒の原料となる「水」が与える影響について説明、その硬度(マグネシウム、カルシウム濃度)の違いによって大きく異なってくるとのことでした。また「酒造米」については、日本酒用の品種の特徴を紹介。普通のお米との成分の違いについても触れていただきました。
最後に、食品以外の開発に麹が使用される事例を紹介いただきました。発酵すると黒ずんでくる麹を使用して白髪染めを商品化した事例のほか、吟醸酒の香りが精神の安定にも影響を与えるといった研究内容や、ペットボトルの分解に麹を使用する事例も紹介。食品以外の開発にも使用できる麹のすごさに、皆驚いていたようでした。
次回は、樋口松之助商店(株)取締役研究室長の山下秀行先生を講師にお招きして行います。
(バイオ環境学部 教授 藤田裕之)