人文学部心理学科「社会・産業専門演習」(君塚洋一クラス)では「社会調査を生かした市民や消費者への広報」をテーマに、京都の魅力を調査し、その成果の幅広い発信を行っています。
昨年度、この演習のゼミ生は、人文学部国際キョートロジー・センターの活動の一環として、長い歴史と伝統のある京都の文化のなかでも、近年若い人に人気となっている「純喫茶」について市内の現地探訪とインタビューを行いました。このほど、その成果が研究広報誌『京の趣(おもむき):京都の喫茶文化』として刊行されました。
明治初期から洋食やコーヒー、パン、スイーツなどの洋風の食文化が確立した京都では、進々堂やイノダコーヒ、フランソア喫茶室など、多くの老舗喫茶店が開店し、学生や文化人たちの憩いや語らいの場となってきました。また、京都市民の年間コーヒー消費量は全国一であり、市民の暮らしにコーヒーが深く根づいていることがわかります。
この演習クラスでは、そんな京都の喫茶店の歴史や喫茶文化の特色を研究するとともに、市内のユニークな喫茶店のひとつとして河原町三条の老舗「六曜社珈琲店」(地下店)の店主・奥野修さんにインタビューを行いました。
奥野さんは親子三代で数十年にわたりこの老舗を営み、京都ではいち早く自家焙煎を取り入れて全国のコーヒー関係者の注目を集めた方です。また、長く音楽活動を続け、高田渡など往年のフォークシンガーとも親交を温めたミュージシャンでもあります。
この冊子では、そんな京都の喫茶店の歴史を一覧し、世界に影響を与えた自家焙煎と「ハンドドリップ」を確立させた奥野さんたちがつくりあげるこの街の独自の喫茶文化の魅力について紹介しています。
(人文学部心理学科教授 君塚洋一)