現在取り得る対策として、ワクチン接種が最も有効であることを、改めて確認します。皆さんと皆さんが大切に思う方を守るために是非接種するようにお願いします。
バイオ環境学部長の福田裕穂先生にお願いし、表題の解説を書いていただきました。是非ご覧になり、理解をしていただきたく思います。
改めて申し上げます。
皆さんと皆さんが大切に思う方を守るために是非接種するようにお願いします。
学長 前田正史
「デルタ株の広がりで新型コロナウイルス感染症との戦いは新しいステージに入った」
最近の第5波の新型コロナウイルス感染の拡大は止まるところを知らず、8月13日にはついに全国の感染者が2万人を越えました。この多くがデルタ株による感染で、首都圏では感染者の90%以上、関西圏では80%以上と推定され、8月中には関西でもほぼデルタ株に置き換わると考えられています。それでは、この第5波の感染の主役となっているデルタ株とはどのようなウイルスでしょうか。
7月下旬、米国疾病予防管理センター(CDC)は新型コロナウイルス・デルタ株の感染能力とワクチンの効果に関するデータを発表しました(https://context-cdn.washingtonpost.com/notes/prod/default/documents/8a726408-07bd-46bd-a945-3af0ae2f3c37/note/57c98604-3b54-44f0-8b44-b148d8f75165.)。真偽入り混じった情報が流れる中で、このデータは科学的なエビデンスに基づき、信頼に足るものであると考えられます。そこで、その内容を紹介し、デルタ株の感染対策の参考にしていただきたいと思います。
デルタ株の特徴
デルタ株は、感染に働くウイルスのスパイクの452番目のアミノ酸、ロイシンがアルギニンに変異(L452R)したもので、インドで最初に確認されました。この株の日本での広がりの前、第4波の感染の主役であったアルファ株はイギリスで最初に確認された変異株で、以前はイギリス株と呼ばれていました。このウイルス変異は、やはりスパイク上の501番目のアミノ酸、アスパラギンがチロシンに変異(N501Y)したもので、元祖ウイルスより強い感染力を持ちました。
デルタ株の最大の特徴はその感染力の強さです。CDCによれば、元祖ウイルスが1人から1−3人に感染させるという感染力に対して、デルタ型では5−9人の感染力でした。感染は掛け算で広がりますので、爆発的な感染が起きやすくなります。この感染力は水疱瘡と同じレベルだということですので、驚異的な感染力です。この感染力により、アルファ株にとって代わり、爆発的なデルタ株の感染が起きていることになります。また、致死率もデルタ株の方が元祖ウイルスよりやや高いようです。
ワクチンの効果
現在日本で使われているワクチンは元祖ウイルスのスパイク部分を対象に作られました。アルファ株もデルタ株もいずれもスパイクのアミノ酸が変異していますので、どれくらいワクチンが効くかはきちんと調べる必要があります。CDCのデータでは、イギリス、カナダ、イスラエルでのファイザー社製ワクチンのデルタ株感染に対する効果が示されています。共通しているのは、いずれの国でも、ワクチンが死亡率を90%以上(93-100%)抑えていることです。一方、ワクチンによる感染と症状の抑制に関しては国によって異なり、ワクチンは感染で64%-79%抑制、また、病気の症状に関しては、64-88%抑制します。この結果から、ワクチンを打てばデルタ株感染が絶対に起こらないわけでも、病状の悪化を完全に抑制するわけでもないけれど、かなり感染を抑え、死に至るほどの重症化を強く抑えるということが分かります。
デルタ株対策
以前、人口の60%がワクチンを接種すると、集団としての免疫が獲得され、感染をほぼ0に抑え込めると期待されていました。しかし、デルタ株は感染力が強く、ワクチンの効果も弱いので、ワクチンの接種率をさらに上げ、80%以上にすることが重要だと考えられています。ただそれだけではダメで、ワクチンや薬以外の感染防止対策、特に、感染者と非感染者双方のマスクの着用が重要だと指摘されています。デルタ株の広がりにより、日本を含む世界の感染危機は新たなステージに入りました。私たちは、ワクチンの接種を促進し、同時に、マスクの着用、密を避ける、消毒などの感染対策を、これまで以上に徹底して行うことが重要です。
一方で、ウイルスが広がれば広がるほど、ウイルスの変異の確率が上がります。その結果、さらに感染力の強いウルスや重篤化しやすいウイルスが現れる可能性も高まります。日本一国だけでなく、世界全体の感染を抑える努力も同時に必要となっています。
(バイオ環境学部 学部長 福田裕穂)
Emergency Message from the President
This message is intended to reiterate that vaccination is the most effective measure that can be taken against COVID-19 at this time. I urge all of you to get vaccinated to protect yourself and your loved ones. I have asked Dr. Hiroo Fukuda, Dean of the Faculty of Bioenvironmental Sciences, to provide a commentary on this topic. Please ensure that you read it.
Once again, I urge you to undergo vaccination to protect yourself and your families.
President MAEDA Masafumi
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